苦しみを消すには

20代の頃、出先で占い館があるとふらっと立ち寄るということをたまに行っていました。
私には特にこれといった悩みもないと思っていたので、漠然とした客だったと思います。
結局、具体的な悩みがないので占いを教えてもらうことになりました。
占い師さんは、皆さん優しく教えてくださった。

占い師がなんとなく怖がられたり、先生と呼ばれたり、謎めいて見えるのは、占いという学問の研鑽もあるけれど、未来予知にもその一因があるのかもしれないと思います。
ただ、占い師ができる未来予知のほとんどは、勉強と努力さえすればお客様にもできると私は思っています。
人は、生きていると未来に対してなんとなく無力だと思い込みやすいです。
20
代の私がそうでした。
それと同じように、自分の心に染み付いて忘れてしまった過去の決意にとらわれていることもあります。
それは未来と似ていて、思い出せないから、自覚しないと見ることができない。この本人が見えない過去に触れると言うことも占い師ができることではないかと思っています。

私は特にこれといった悩みもないと思っていたので、漠然とした客だったと思う。ただ本当は、自分の人生は空回りしているように感じていた。心の中は荒涼としていた。
今思うと、この荒涼とした心をどうにかしたくて占いに足を運んだのかもしれない。だけれど、心理学的アプローチはすべての占い師ができるわけではないし、かと言って臨床心理士に話すことも私はできなかった。
私はあの時の私のような、漠然とした悩みを抱えた方の一助になれたらという気持ちもあり占い師になったところがあります。あの時は、漠然としているが故に苦しかった。誰かに話したいのに何を言えばいいのか分からなかった。しかし、占星術を学ぶうちに救われた部分がありました。

そうやって、色々と試すうちに、私は人に頼らずに一から自分を育てることにしました。可愛がることにしました。初めはとても違和感があったけれど、これはとても効果があり、生きる活力が少しずつ湧いてきました。結局、自分は自分でしか助けることはできないと思いました。自分の外に何かを求めているうちは心が自律していないので、自分でコントロールすることができなくなる。
私の親は子供のことを褒めないことが美徳だと思っている人たちだったので、私は彼らの言葉を信じて、自分は醜く、頭が悪い、駄目な人間だとずっと無意識に思っていました。
しかし、それとは反対のことを言う人にポツリポツリと出会うことができました。
家庭の中の当たり前は、その場にいるとそれが異常なことだとわからなくなります。
例えば、ある地域の風習で、女性を蔑視したり迫害していても、その地域にいる限り、それが当たり前になってしまう。そこから抜け出して、様々な人や意見に触れることで視野が広がり自分の置かれた状況がわかるようになります。

人の悩みは、養育者の病的な部分を受けて、幼児なりに生き抜くためにした精一杯の決断を、大人になっても習慣として使っていることに端を発していることも多いです。

私の場合「親が自分のことを醜く、頭が悪く、駄目な人間だと思っている。私はそのような人間でこの世にいない方がいいのだから、早く死んでしまった方がいいのだ。」と無意識に思っていました。
ある時、何れにしてもそのうち死ぬのだから、やりたいことをやってみようと思いました。初めは自分は何をやりたいかも分かりませんでしたが、根気強く自分と対話しました。一人暮らしをしたり、やりたい仕事に挑戦して、描きためた絵で個展もやって見ました。色々全部やってみて、もうこれからは余生だと思いました。
そして「ああ、馬鹿馬鹿しい」とも思いました。
親は私に言ったことなど忘れている。今の私より若くして親になった両親。幼い両親は両親なりに苦労して頑張ったのだろう。ずっと、囚われている小さい私。無力な小さい私が大人の私を頑張って支えて無理している。小さい私、ありがとう。ありがとう。私たちの価値は私たちが決めればいいね。私たちやろうと思えばはなんでもできるんだね。
何も考えないために、朝晩、毎日ヨガやピラティスも行なっていました。占星術を独学して、出生図を読むうちに自分というものの意味付けをやり直すことができました。苦しみを消すには、自分自身を変えるしかありません。
無力な幼児の決断と決別するには、願い事も無意識から表面化させると叶いやすいように、子供の頃の認知の歪みも表面化することで、対策を立てることができるようになると考えています。

認知の歪みを表面化することは親との関係性だけでなく「タバコをどうしてもやめられない」など、やりたくてもできないと自分が思い込んでいることにも応用できると思います。共通していることは、自分の月を客観的に見る方法を知り、それに対して新しい決断を行うということです。 最近の鑑定ではそのお手伝いをすることが増えてきて、お客様がだんだんと「現在の私」とこれからの決断をして実行されるのを見ることができて、私はとても嬉しいです。

 

(2017.12.7ウラナイトナカイお店日記からの転載)