人間の武器

 

 

コミュニケーションを行なっていると喧嘩になることがある。

喧嘩において、友好的なカップルと対立的なカップルの会話は違いがあることがわかっている。対立的なカップルの会話には次のようなネガティブ・コミュニケーションが見られる。

 

①悪意のマインド・リーディング…相手の言葉の奥にある心理を読むことをマインド・リーディングという。対立的な二人はお互いに相手の心理を読むとき、相手は悪意を持っていると読む傾向が強くなる。

 

②ネガティブ・インパクト・コミュニケーション…対立的な二人は、ショック度の大きいネガティブな情報交換をする頻度が高い。

 

③相互非難コミュニケーション…対立的な二人は、互いに相手を非難し合う「クロス・コンプレイニング」が多発する。相手の正当性を認める発言はない。一方、友好的な二人は、不満は言ってもお互いの行動の正当性を認める発言が多い。

 

④勝負のコミュニケーション…対立的な二人は、意見が違ったときに勝つか負けるかという戦いのコミュニケーションを行う。一方、友好的な二人は妥協点を見出し、解決を図ろうとする。

 

⑤メタ・コミュニケーションへの陥り…メタ・コミュニケーションとは、「どうしてそんなことを言うの?」など、コミュニケーションについてのコミュニケーションである。

友好的な二人もメタ・コミュニケーションを行うが、すぐに抜け出して普通の会話に戻る。対立的な二人の場合は通常の会話に戻れないことも多い。

 

⑥自己完結的コミュニケーション…自分の言ったことを自分でまとめてしまうため、相互コミュニケーションは成立しない。

 

 

以上は、人間が感情的になるとよく行われるコミュニケーションであるとも言える。

自分の感情にこだわるので、これらのコミュニケーションは自分の感情を満足させるために行われる。これらのコミュニケーションは結論が出にくい。

①は自分の不信感や怒りを相手に投影させた感情の裏読み、②は感情的な言葉使い、③④⑥は自分を優位に立たせ正当性を相手に認めさせようとする激情や不寛容、⑤は議論を混ぜかえされ堂々巡りで終わらなくなった会議や喧嘩の端緒がわからなくなった夫婦喧嘩など、自分の感情にこだわり同じようなことを主張し続け、感情のループに陥る結論の出ないコミュニケション。

 

人間も感情に支配されると、正常に機能しなくなった機械と同じなので、上記のようなネガティブ・コミュニケーションに陥った場合、リセットするため一旦その場から離れるか、相手の正当性を認めるか、あっさり引き下がり譲る行為なども有効である。

いつか弁護士の方から聞いた話で、できるならばなるべく訴訟はしない方がいいと言われたことがあった。訴訟にたとえ勝っても相手の恨みをかい、その恨みが回り巡って自分の不利益になることもあるということだった。恩恵と不利益を天秤にかけ、熟慮した方がいい。

 相手が怒るということは、その人は感情的に満たされていないということなので、「あなたのことを大切に扱っていますよ」ということを相手に示せば、多くの場合は通常のコミュニケーションに戻ることができる。

また、友好的なカップルにおける喧嘩は対話となり、お互いを成長させます。

例えば、シナストリーでお互いのライツがスクエアだったとしても、対話で互いに成長する力に変えているカップルも多くいる。

これは、自分のネイタルでスハードアスペクトに慣れていたり、使いこなしていたりすると、他人との関係においても、困難を自分の成長に使うことができるという好例であり、人間の底力だとも思っている。

夫の友人で苦学して欧州に留学したスリランカ人がいる。

欧州で差別を受けることもあった。相手が自分の話を聞かない素ぶりや、馬鹿にする様子を見せても、まるで気にしていないように根気強く冷静に、自分の話を相手が理解できるまで話し、自分の意思を通していた。スリランカという国の不安定さや、英国式の初等教育によるものも大きいと思う。彼は現在ドバイに住み大企業で活躍している。精神的なタフさはそれだけで人間の強みになる。

人間の武器は感情に任せて相手のことを罵る言葉や暴力ではなく、強い意志と冷静にそれをやり遂げる根気強さだと思っている。