ゴーレム

自己成就予言と言って、自分や周囲の人が「大丈夫」「出来る」と言い聞かせると、予想以上のやる気が引き出されて実現することがあります。

 

行動心理学では、このように周囲や自分の言動がプラスに働くことを「ガラティア効果」と言います。ピグマリオンが恋した彫刻の名前ですね。

 

また、周囲の人が「君は駄目だ」「出来ない」とネガティブな態度で接すると、その人は自尊心が低くなり、本当に駄目な人間になっていきます。

これを「ゴーレム効果(泥人形)」と言います。ゴーレムという言葉は、もともとヘブライ語で胎児を意味します。

 

私は、今は明るくて悩みがなさそうと人に言われたりもしますが、幼いころは人と話すことすらできませんでした。

 

私の親は子供をほめたりすることができず、ほめないことを美徳だと思っていました。また、仕事が忙しく放っておかれました。私はずっと貶されて育ったので、自分は世界で一番醜く、頭が悪い人間だと思っていました。いつも貶められるので、人間が怖くて、本を読んだり妄想したりして、友達も作れませんでした。

そして、絵ばかり描いていましたが、暗い絵で、この絵もまた親には嫌われて、絵を描くことも嫌がられました。私は自分が絵を描くことについて、一度も満足感を得ることはありませんでした。物事の何についても、充実感がなく、孤独で、空虚で、小さな望みが叶うと、もうこれからは余生だと思って生きている、全く欲のない子供でした。上に掲げたような鏡合わせの人物像ばかり描いていました。

 

実家を出て、いろいろな人たちと仕事をして、ほめられて、失われた自尊心をだんだんと獲得していきました。

この頃の顔の変化を写真で見ると面白いです。きつくて暗い目つきが、明るく柔らかになっていきました。時間が経ち、両親の幼さについても、大きな心で俯瞰してみることができるようになりました。

 

幼少期の親からのゴーレム効果は、人生そのものを破壊することがあります。

しかし、後から自分で自尊心を獲得していくこともできます。

 

私は自分の経験から、人が人に認められたり、優しくされることは、その人が自己実現していく心の栄養になっていくと思っています。

占い師は、決まってもいない未来を否定せずに、相談者がよりよい未来に進むためどうすればいいのか一緒に考えて、導くことが大事だと考えています。